逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 そんな夜半に、山の片側では十数人の男が集まっていた。

 闇の中に白く光る物体があった。
 大型の馬車を二台連ねたほどの大きさで、驚くべきはその形だった。上から押しつぶしたような楕円をしている。

 扉があるが開けることが出来ない。

 グリント―ル屈指の商人であるカライルは首をひねった。生まれてこの方、こんなものは見たことがないのだ。

『山中におかしなものがあります』
 猟師が報告に来たのは夕方だった。

 不思議な形をしていてどうも金属らしいと聞いたとき、カライルの食指が動いた。
 ともかくも現場に行ってみた。