「センダへは馬で二時間。会見に要するのは四時間ほどでしょうか」
「では、遅くなったらセンダか帰路のどこかで宿泊することになりますか」
ベッドの上のシュテルツを、オルグと宰相補佐が囲んでいる。
「いや、アーロン殿の性格では用が済めばすぐ帰って来るだろう。そこらを聞きにやらせている、間もなく返事が来るはずだ」
出立を前に、アーロンは自邸に帰っていた。
「ところで土産は準備できたのか、マリンドウやパレス王へ渡すものだ、遜色のない物を用意しなくてはな」
「わが国特産の蒸留酒と貴重種の燻製肉を揃えました。向こうから何かを頂いても遜色はないかと」
「さすがオルグだ。それからセンダへ同行する護衛兵の選抜だが・・」
そう言いかけたとき、
「大変でございます」
一人の男が駆け込んできた。アーロン邸に向かわせた配下だった。
「ハインツ様のお屋敷では、今日ご婚礼が行われています」
「なに、それはいったい誰の婚礼なのだ」
「それが、ご当主の、アーロン・ハインツ様のご婚礼です」
「本当かっ、それは」
「はい、なんでも内々の式だそうで。ご一家を挙げて祝宴が開かれております」
婚礼の相手は言わずもがなのソフィーだ。
だがそんな予定は全く聞いていなかった。
「いやちょっと待ってくれ。だとしたらアーロン殿は婚礼の翌日に出発することになるのか」
「はい」
「それも危険極まりない会見場へ、だぞ」
言うなりシュテルツが絶句した。
* * * * *
「では、遅くなったらセンダか帰路のどこかで宿泊することになりますか」
ベッドの上のシュテルツを、オルグと宰相補佐が囲んでいる。
「いや、アーロン殿の性格では用が済めばすぐ帰って来るだろう。そこらを聞きにやらせている、間もなく返事が来るはずだ」
出立を前に、アーロンは自邸に帰っていた。
「ところで土産は準備できたのか、マリンドウやパレス王へ渡すものだ、遜色のない物を用意しなくてはな」
「わが国特産の蒸留酒と貴重種の燻製肉を揃えました。向こうから何かを頂いても遜色はないかと」
「さすがオルグだ。それからセンダへ同行する護衛兵の選抜だが・・」
そう言いかけたとき、
「大変でございます」
一人の男が駆け込んできた。アーロン邸に向かわせた配下だった。
「ハインツ様のお屋敷では、今日ご婚礼が行われています」
「なに、それはいったい誰の婚礼なのだ」
「それが、ご当主の、アーロン・ハインツ様のご婚礼です」
「本当かっ、それは」
「はい、なんでも内々の式だそうで。ご一家を挙げて祝宴が開かれております」
婚礼の相手は言わずもがなのソフィーだ。
だがそんな予定は全く聞いていなかった。
「いやちょっと待ってくれ。だとしたらアーロン殿は婚礼の翌日に出発することになるのか」
「はい」
「それも危険極まりない会見場へ、だぞ」
言うなりシュテルツが絶句した。
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