「今は双方が睨み合っています。だが何のきっかけで全面戦争に突入するやもしれません」
宰相補佐も前に出て、
「それでシュテルツ様がおっしゃるには、会見は棄権されてはどうかと。ぜひご一考されたいとの事でございます」
執事が顔色を変えた。
「それは大変な事態です、中止して下さいませ」
「それで、マリンドウの宰相はどうされるのだ」
「宰相殿は昨日のうちにセンダに到着されています」
「その宰相の意向は? 中止するという連絡はないのか」
「今のところ、ございません」
「ならば行かねばなるまい。二国の代表が揃うのだ、我が国だけ欠席するなど有り得ない」
「し、しかしアーロン様」
「現地の状況が変わったから、その当日に止めるなど出来るものか」
愛馬に近づき騎乗する。
走り出そうとしたとき一人の影が見えた。ソフィーだった。
目が何かを訴えている。
アーロンが微笑みかけた。
声が出なかった。
出発する彼をただ見送るしかできなかった。
* * *
宰相補佐も前に出て、
「それでシュテルツ様がおっしゃるには、会見は棄権されてはどうかと。ぜひご一考されたいとの事でございます」
執事が顔色を変えた。
「それは大変な事態です、中止して下さいませ」
「それで、マリンドウの宰相はどうされるのだ」
「宰相殿は昨日のうちにセンダに到着されています」
「その宰相の意向は? 中止するという連絡はないのか」
「今のところ、ございません」
「ならば行かねばなるまい。二国の代表が揃うのだ、我が国だけ欠席するなど有り得ない」
「し、しかしアーロン様」
「現地の状況が変わったから、その当日に止めるなど出来るものか」
愛馬に近づき騎乗する。
走り出そうとしたとき一人の影が見えた。ソフィーだった。
目が何かを訴えている。
アーロンが微笑みかけた。
声が出なかった。
出発する彼をただ見送るしかできなかった。
* * *

