逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 リズの頬も火照っていた。
「ステキですね、素晴らしい時間です」

「そうか」
 だがアーロンはそっぽを向いている。
 意外そうに問うリズに、
「本当は照れくさいのだ」
「え?」
「こんな場に立って照れくさくてたまらない。しかしソフィーが喜んでいるだろう?」
「それはもちろんです」

「だったらやるぞ。彼女が喜ぶことは何でもやってやる、そうだろう」
「その意気ですっ、よくやりました、素晴らしいです!」
 声を大にしてほめた。


 宴はたけなわだった。
 ざわめきからベランダへ出る影がある、ソフィーだった。
 辺りはもう夜になっていた。