逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 二人を乗せた馬車が走って行く。

 やがて到着したのは・・。
 レブロン邸だった。

 馬車が玄関に横付けされ、ア―ロンにエスコートされてソフィーが降り立つ。

 庭にいた侍女がこっちを見た。
 正装した二人に声を失った。

 アーロンは口に指をあてて合図をする。
 そして最初の病室に入った。

 負傷兵がベッドに横たわっている。
 彼らの目に飛び込んできたもの、それは目が覚めるような純白のドレスのソフィーだ。

「お、お嬢、さま?」
 ラクレスの領兵である彼らはソフィーの臣下でもあった。

 事情はわからない、だがソフィーの横に礼服をまとったアーロンがいる。

「え? まさか」
 一人が言い、
「そうです。ご婚礼ですよ、お二人の」
 後から入ったリズが答えた。

 とたんに部屋がどよめいた。
 その声で周囲の負傷兵もやって来る。
 たちまち二人は取り囲まれた。