逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「今は両軍が睨み合っておりますが、いつ全面戦争になってもおかしくないと」

「それでパレス王は?」
「護衛に守られて無事です。それで明日は必ずここに来ると、何が何でも和平会見を敢行したいそうでございます」

「なんだと、そんな状態で開催するというのか。今は目前の敵に対するのが先決だろうに」

 パレス王の真意が読めない。
 彼がこの国境検問所に来る、それはすなわち、このマリンドウまで戦火が広がることになりかねない。

 宰相は長く嘆息したあとで、
「パレス王は、まだ二十歳でいらっしゃるそうだな」
「はい」
「お若いことだな、ずいぶんと」

 苦虫を潰したように言った。


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