逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 センダは、グリント―ルとマリンドウ、そしてバッハスの三国が接する唯一の町だ。
 そのマリンドウ側の地に、かの国の国境検問所があった。

 その内外で用人が忙しく動いている。ここで和平会見が開かれるからだ。

 マリンドウの宰相が、
「明日はパレス王とアーロン・ハインツ殿が到着する。我が国の名誉にかけて成功させるのだ」

 と、
「大変です」
 臣下が駆け込んで来た。
「パレス王の軍が襲われました。バッハスの前王軍が奇襲をかけたとの報告が」
「なにっ」

「このセンダの隣町で戦闘状態になったそうです」
「なんという事だ、どうしてそうなったのだ」

「兄の前王が残党を引き連れて潜伏していたのです。パレス王がこのセンダに向かうと知って行動を起こしたと思われます」

 宰相が頭を抱えた。
「やっぱりな、案じた通りだ」