逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 誰もが美酒佳肴に酔いしれ、あちこちで談笑が始まっていた。

 それを見てアーロンが立ち上がる。
「よし、これから外へ出るぞ」
 ソフィーの手を取って退席しようとした。

「どこへ行くのですか」
「まあいいから」
 うながされて庭に出る。そこに馬車があった。

「あの、出かけるなら着替えたほうがいいのではありませんか」
 二人は婚礼衣装のままだった。
「そのままでいい。とにかく乗ってくれ」

 馬車は出発し、それを追うように二台目が走り出す。

 そこには耳打ちされたリズと執事が乗っていた。


          * * *