逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 王宮の政務室で大勢が執務していた。

 と、隅の椅子に座る者がある。
 三十歳ほどの男で、制服ではなく私服姿だ。

「誰だ、あの男は」
「新しく入った事務官じゃないな、あの年で新人は有り得んからな」
「お前、行って注意してやれよ。ここにおられては邪魔になりますってな」

 若い事務官が近づく。
 見下ろすようにして、
「君は誰の許可を得て入ったんだ。ここは事務の中枢で、大事な・・」
 と言いかけた。