逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「これで私も忙しくなるかもしれません」
「忙しくなる?」

「お披露目の日が近いかも知れませんからね、アーロン様とソフィー様の」
「ほうほう、それはそれは!」

「忙しくなるのはあなたもですよ。日取りを決めて、招待客を吟味して、招待状を送って」
「なるほど! では早速取り掛かることにしよう。いやこれは嬉しい、この家には久しくなかった慶事ですな。腕がなりますな」

「ちょっと。そのように途端に先走りしても。要はお二人のことですからね」
「それもそうだな」

「今はうまくいくよう見守りましょう。なにかが育ってくれるように、そうでしょう?」

 うながされて、執事がうんとうなずいた。


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