逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「彼らの食事の世話をする者が必要だったし、食材の業者との交渉にも時間を取られて」
「でもこれでレブロン邸の体制は出来たという事ですな。お疲れでしょう、今日はゆっくり休むといいですよ」

 言葉を交わしながら玄関に入る。

 リズが廊下の向こうを見やった。ふとその足が止まる。
 二階から見おろしている影があったからだ。
 
 ソフィーだった。
 辺りをうかがうように下りて来る。

 執事が見つけて、
「お早うございます。どちらへいらっしゃるのですか」

 リズがあわてて彼を追った。
 横に着くと袖を引っ張る、だが執事は頓着せずに、
「朝食の準備なら、もうとうに出来ております」