逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 医務官が忙しそうに出入りしている。

 治療室に肩から腕にかけて包帯を巻かれたシュテルツが横たわっていた。
「出血量が多いのです。予断を許さない状況です」

 目が窪んで苦しそうな彼は意識がなかった。

「しっかりしてくれ]
 アーロンが枕元で話しかる。

「早く良くなってくれ、お前がいないとこの国は回らないんだ。今まで色んなことがあったな、ここで王の愚痴を言い合ったよな。・・おい、聞いているのかシュテルツ」
 

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