逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 臣下の子をもらい受ける手もある。だがいずれ出自が判明するだろう。いくら口止めをしても、それほどの大事は漏れてしまうものだ。
 そして派閥が懸念される事態になる。

 それならいっそ隣国の、王妃の血筋からもらおうではないか。その子を我らの子として育てるのだ。
 亡き王は、王妃にそういって(さと)したのだという。

 臣下はただ絶句している。

 かろうじてアーロンが、
「しかし、その、そうだとすれば、失礼ながら王子様にはこの国の王族の血は流れていない事になりますね」

「はい、まったく一滴も」
 再びあっけらかんと言う。

 毒気を抜かれて一同が黙り込む。