隊長はもう一度男を見た。

 小柄な自分より頭一つ上背がある、見下ろされた気になって、
「ああ、俺の名前はボスだボス、この斥候隊のボスでもあるんだ、わかったか」
 声を張り上げた。
「俺の命令は絶対だ、どんな時でも絶対服従だからな。勝手は許さんぞ、覚えておけよ」

 男がニヤリとわらった。
「ボス・・殿か、覚えておきましょう」 

 ・・っ! ボスが固まる。

 背中にヒヤリとするものが走った。その目に底知れぬ威圧感がある。
 生唾を呑んでもう一度見上げた。
 
 下級兵士である斥候隊の面々は、軍の最高司令官のア―ロンの顔を知らなかったのだ。

 その斥候隊の周辺で、アーロンの側近とその部下四十名が身を隠していた。


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