「・・いえ、それがその、こんな置手紙が」
 と一葉の紙を出した。そこには、
【緊急の事態だ。しばらく個室に籠る・・ことにする。後は頼む】
 とあった。

「・・っ! この緊急時にあいつはいったい何を」
 シュテルツが怒鳴った。
「まったく! いい歳をしてそこらの若造のようにっ」

 ・・と、急になにかを思い出して、
「あ、いや、やつは今は本当に若者なのだが」

「はい?」
 目の前の衛兵が聞いてくる。

「あ、いや、なんでもない、気にするな」

 脱力するようにその場に座り込んだ。