逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「うおーっ!」
 バッハスの先鋒が城壁に達した。
 
 全ての門は閉められている。
 身軽な兵が城壁を登り始めた。

 二階の手すりを越えてなだれ込む。

 エントランスには幾つもの円柱があり衝立がある。
 それらは静寂の中に立っていた。

 だが無人である訳がない。
 剣を手に用心深く進む。

 と、衝立から影が躍り出た。
 グリント―ル兵だ。

 戦いが始まった。

「うおぉぉっ!」
「うぬっ!」
「まわり込め! 背後をねらえ」

 その陰で地上へロープをおろすバッハス兵がいた。下の仲間を呼ぶためだ。
 
 彼らは次々とよじ登り二階は敵兵で溢れた。