逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「おおぉぉっ!」
 兵が返した。距離を置いて立っているアーロンに呼応する声だ。

 それが石壁や床に反響した。
 宮殿の大空間に跳ね返ってこだまのように響いている。

 うおおぉぉっ、うおおぉぉっ、うおおぉぉっ!

 音叉のようにも聞こえた。
 それが空間をうめ尽くしている。

 不思議な時間だった。

 誰もが高揚していた。