逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「アーロン様はおっしゃったんだ。この大通りは元は川だった、だから周囲よりずっと低い位置にある。そこが通り道になって被害は最小限に食い止められるはずだと」

「被害ですって? 通り道っていったい何の通り道なの」

「何が通るのかは分からない。だがこうも言われたんだ。この通りにある家は大きな被害を受ける、だがその賠償は国の名にかけて約束すると」

「それは私も聞いたわ」

「だったらお任せするしかないだろう。それを信じて武運を祈ろうじゃないか」

「そうね祈りましょう、我がグリントールが勝つようにと」
 
 人々は肩を抱き合っていた。
 抱き合って大通りを見ていた。


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