逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 眼下の街並みに目をやった。それが鮮明になってくる。
 太陽が昇って来たのだ。

 中央に大通りがある。
 両側に商店が並び、その向こうに人家が続いていた。

 いつもなら人が動き始める頃だ。だが今日はひっそりしている。
 計画通りだと安堵する。

 階下に行こうとした。
 階段に向かって歩き始める。

 と、足が止まった。

 最後に見た残像が脳裏に落ちたからだ。

 再びその地点を見た。

 何かがうごめいている。

 それが徐々に大きくなる。

 バッハス軍だった。

 途方もない大軍が迫っていた。


          * * *