逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 彼らは命を惜しまないと言ってくれた。
 グリント―ルのために命をかけるのだと。

 あの顔が目に焼き付いている。

「そんなことをしてたまるか、彼らを犠牲にはしない」

 この王都を焦土と化すなど出来はしない。
 膨大な死傷者を出すことをもだ。

 そのために策を練って来たのだ。

 だが事態がどう動くかはわからない。
 不測なことが起きれば被害は甚大だ。
 
 その責を我が身に負う覚悟はできている。

 ふっと息をして手摺りを握った。