早足で洞窟の奥に入った。

 ソフィーを呼び止めると委細を告げる。
「・・え? そんな大変なことが」
 彼女が青ざめた。
「だいじょうぶだ、万事抜かりなく手配する」

「で、でもこれから王宮はどうなるんでしょう?」
「跡継ぎの王子はわずか五歳だ、後見をめぐって波乱が起きることは必至だろうな」
 
「やっぱり?」
「ああ。しかもバッハスの侵攻が迫っている、今は国を挙げて迎え撃つべきなんだ。その肝心なときにあの王はまったく」
 不遜な言葉を吐いた。

「これから王宮に行ってくる、シュテルツらと協議するためだ」
「・・はい」