逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 それで潮目が変わった。バッハス兵が押されていく。

「引け! 引くのだ」
 年長の男がどなった。
「我らの任務は王宮に行くことだ! ここで時間を取られるな」
 それを合図に敵が背を向けた。

 次第に彼らが遠ざかっていく。

 それを見てソフィーが崩れ落ちた。

「しっかり!」 
 アーロンが抱き止め、
「敵は敗走したんだ、もう大丈夫だ」
 
 だが彼女はぐったりしている。
「ソフィー?」
 心配げに覗き込んだ。