「どうしたというのだ、もうとうに閉店の時間は過ぎているぞ」
怒ったように扉を閉めようとする。しかしその手がはたと止まった。

「ああ、これはアーロン邸の騎士さま」

 ソフィーの後にヴェンが立っている。彼はアーロン家直属の制服を着ていた。

 その隙にソフィーが店に入り込む。
「ノコギリソウとコンフリーはある?」
 あちこちの棚を物色している。

「あのぉ、アーロン邸様のご用でございますか」
 店主の声が変わっていた。低姿勢になってついて来る。

「熱さましと包帯もあるわよね。それも包んでちょうだい、あるだけ全部よ」

 はいはい、と店主は揉み手をし、ふと気がついたように、
「誰かお屋敷の方がお怪我でもなさいましたので?」