逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「いやっ、アーロンさまっ!」
 彼女は立ち止まろうとし、ヴェンが渾身の力で引きずる。

 と、その二人の前に影が現れた。
 先回りした敵だった。

「剣を捨てろ、さもないとこの娘の命はないぞ」

 アーロンに怒鳴る。
 ソフィーの喉に剣が当てられていた。

「捨てるのだ、今すぐだっ」

「やめて、私のためにそんな!」

 だがアーロンは剣を捨てようとしていた。