王宮にバッハス軍の動向が伝えられた。

 国軍の会議室に参謀や各部隊長が集結している。
 壇上からアーロンが、
「斥候隊の報告では山岳地帯を移動中とのことだ。歩兵も含めての速度なら明日の夜半にこの王都に到達するだろう」
「え? 明日の夜半にですか」

「だが敵はこの王宮の周辺や内部の構造に詳しくない。暗闇での侵入に踏み切るほど愚かではないはずだ」
 そう言って会場を見渡した。

「攻めてくるのは明後日の明朝だ。各部隊は対応を急げ。各門を閉ざして閂をかるのだ。塔の物見台も抜かるな。怪しい動きを見落とすな。これから数日が正念場になる、全員心せよ」
「はっ!」
 鋭く返事をして彼らが散っていく。

 それを見送ってアーロンは別室に向かった。

 そこにワイトが待ち構えていた。


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