逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 彼女はデイズに向かって歩くと、
「ほらごらんなさい、頑張って生れて来たのよ」
 唐突に言った。

「この子を見てなんとも思わないの。生きているのよ、生れたばかりなのよ」
 デイズは声もなく嬰児を見つめ、それを遠くからラナが見ていた。
 
「あなたは何も分かっていない。この子は一生懸命生きようとしているでしょう」
 問い詰めるように言う、だがデイズは無視するように顔を伏せた。

「こんな子を置いていなくなるっていうの」

 アーロンが意味がわからず凝視している。

「頑張らなきゃダメよ。この子に笑われるわ、そうでしょう」

 嬰児がまた泣き出した。甲高い声だった。