逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

「本来は長年勤めた熟練の保守兵がいるのですが、彼は国境の紛争の補充でここにいませんので」

「なるほどな。それでこの湖の構造なのだが・・」
「鉄の水門の間に(さん)を取り付けて、その桟は水圧に耐えられるよう順次下へ区切られています」

「では、この桟を開けて放流するにはどうするのだ」

「放流するには」
 ソフィーに促されてデイズが出た。
「上部の桟から一つずつ抜いていきます」

「デイズか」
「はい。私は以前この湖の保守兵をやっていましたから」
「そうらしいな」

「一番上の桟を抜いて水位が下がったら次の桟を抜くというやり方です。それで調節してふもとの農業に使っているのです」