逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 アーロンは湖まで行くと、
「ここの水の調節はどのようにやっているのだ」
 保守兵に聞いた。

「ご覧のように水門があって、それぞれの間に(せき)を設けて調節しています」

 縦に埋め込まれた水門はラクレス領で採れる鉄を建材にしていた。
 それが六門、空に向かってそびえている。

「だが水圧はかなりだろう。それをこの六基の水門で支えているのか」
「はい」

「その水門の元の部分、基礎はどうなっているのだ」
「きそ、ですか」
 虚を突かれたように口ごもった。

 ソフィーが、
「水門は元からある巨大岩を利用してその内側に建てられています。だからこれだけの水圧に耐えられるのです」
 保守兵をかばうように前に出た。