逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

 シュテルツが真っ向から、
「新参者と言われるが、今のこの状況で他の誰に指揮を任せられるのか。アーロンが託した彼に全権をゆだねるべきなのだ」

「だが彼はハインツ閣下ではない。息子かも知れないが本人ではないのですぞ」

 シュテルツはケイネを睨んだ。そして、
「国王陛下」
 壇上を仰いだ。

「思い出していただきたい。アーロンは以前、陛下から一枚の書状をいただきましたね」
「しょじょう、だと?」

「ここに持参しております。『絶対権限』という書です。これにはアーロン・ハインツに関することならば、アーロンの意思を認める、とありますが?」
「そ、そうだったな」