凛とした声にグリンドラ王まで聞き入っている。

 そんな中で視線をさまよわせる者がいた。
 会場の隅にいたケイネ伯だった。

「し、しかし皆さん!」
 とっさに声がでた。

「これはあまりに無謀ではありませんか。一国の命運をこの若造に託すのですか。しかも彼は今日来た新参者だ、その彼に任せるなどと。その点をどう思われるのか」

 会場がざわついた。
 一石を投じた感があった。