「この二世殿は小さい頃からアーロンに教えを乞うて来た。彼の軍策は熟知している。だからアーロン本人がここにいると思ってかまわないのだ」

　皆がこぞって若者を見た。
　なるほどアーロン・ハインツにそっくりだ。その眼光に威厳さえ漂っている。

　青年は壇上に進むと、
「さぞ驚いたことだろう。だが状況は切羽詰まっている。バッハスが国境を破るのは時間の問題だ」

　声もアーロンと寸分違わない。

「ただちに対策を練るべきだ。バッハスの陣容はどれほどか、進軍のルートはどこなのか。調査するため斥候を出す必要がある。国境には哨戒を配置する」