と、その戸口に影が映った。
 じっと佇むところから侍女や執事ではない。

「なに者だ!」
 アーロンが怒鳴った。話の内容が内容なだけにただでは済まされない。

 入口から姿を見せたのは、・・ワイトだった。

「カライルの屋敷に行くのだろう。だったら俺も連れて行ってくれないか。あそこの庭に俺の荷物があるんだ。それがないとクニ(・・)に帰れないんだ、俺のクニ(・・)に帰れないんだよ」
 藪から棒の話だった。

「連れて行けだと。お前、少しは自分の立場を考えろ。そんなことが出来る訳がないだろう」

「一大事なんだ。あれが()つぶされでもしたら俺は死んでしまうんだ」

「バカなことを。考えても見ろ、お前のような子供をどうやって連れて行けるんだ。せめて大人なら従者と言ってごまかせるだろうがな」