「まったく、お前の家は」
 シュテルツが息を切らして上がってくる。

「階段が多くて困るよ。ここまで来るのにひと苦労だ」
「何をじいさんみたいなことを言っているのだ」
  かたやア―ロンの足取りは軽い。

「お前はいつまでも若いな。だが俺は違う、体が勝手に年を取っているんだ」

 いや、とアーロンが苦笑した。
「実をいえば俺も同じだ。若いときとは違う、そう痛感するときがあるよ」

「やっぱりそうか」
「なんだその笑いは?」
「いや、それでこそ友だと思ってね、長年の盟友だとね」

 互いを見た。
 今度は同時に笑った。

 その陰で足を止める者がいる。
 ワイトだった。