「君の名前は? 一体どうしたと言うのだ、最初はあの若い男に連れられていただろう」
それでも聞かなければ先に進めない。
「私はソフィー・ラクレスと申します。ある事情からケイネ伯の屋敷に連れて行かれるところでした」
「ラクレスというと、あの国境にあるラクレス領か」
「はい」
「そのご令嬢が一体なぜ。ある事情だって? それでケイネ伯の屋敷に連れて行かれようとしていたのか」
うつむいたソフィーは手が震えている。
「ああ、ぶしつけだったな。俺はついこんな口を利いてしまうんだ、長年軍の仕事ばかりやって来たからね」
アーロンはまだ軍服姿だった。胸元に国軍の最高位である徽章がついている。
娘はそれを見るともなしに見ていた。
それでも聞かなければ先に進めない。
「私はソフィー・ラクレスと申します。ある事情からケイネ伯の屋敷に連れて行かれるところでした」
「ラクレスというと、あの国境にあるラクレス領か」
「はい」
「そのご令嬢が一体なぜ。ある事情だって? それでケイネ伯の屋敷に連れて行かれようとしていたのか」
うつむいたソフィーは手が震えている。
「ああ、ぶしつけだったな。俺はついこんな口を利いてしまうんだ、長年軍の仕事ばかりやって来たからね」
アーロンはまだ軍服姿だった。胸元に国軍の最高位である徽章がついている。
娘はそれを見るともなしに見ていた。