「無理ってなに…体調悪いなら保健室行こ?」
意味不明なこと言ってるし、やっぱり熱でもあるんだきっと。
なるちゃんの腕をぎゅっと掴むと、ビクって震えた。
私にイジワルする時はあんなに躊躇なく触ってくるくせに、自分のことになると嫌がるとかさ…。
「ほら、早く行こうよ。ずっとここにいたらこれから来る人に迷惑かけちゃうで……」
ちょっとだけなるちゃんの態度にムカッときたから、そのまま腕を引っ張って連れて行こうとしたんだけど。
「っ…マジでやめろ、それ。可愛すぎるんだって」
なるちゃんの言葉と真っ赤な頬が、私の胸にトスッって刺さった。
「っ…」
いっ……いた、いたたたた…。
胸がね、とっても痛い。
きゅうっとキツく締め付けられて、一気に体温が上がってく。
さっき走ってきた時とはまた別の感覚。
「…そういうことだから、本当に具合悪いとかじゃない。…俺もう行くわ。また迎えに行く」
「っあ、う、うん…」
呆然とする私の頭にポンと手を乗せて、そのまま三年生の下駄箱に向かったなるちゃん。
そして………。



