クールな君の甘さを知れば


昨日は休んでたけど、今日は来れたんだね。



よかったよかった…って思うけど、今は長谷川くんのことより自分の方が大変。



「疲れた…走んなきゃよかった…」



ただでさえ赤ちゃん体力なのに、本気で走ったからね…。



「遅刻しそうだったとか?」



「んー…ちょっと違くて…」



「置いてくなんて酷いじゃん、海琴」



「「え??」」



私と長谷川くんの声が重なって、二人同時に振り返る。



「急に走ると足痛めるぞ。どうせ後で筋肉痛だなんだって騒ぐんだから、無理すんな」



涼しい顔をしたなるちゃんが、普通にそこにいた。



「なるちゃん…!?も、もう着いたの…?」



私があんなに渾身の走りを見せたというのに、無駄になってしまったではないか。



私は一体何のために、こんな疲れてまで走ってきたんだろ…。



なんとも言えない脱力感が私を襲った。



「誰かさんのせいで一緒にいられる時間が減ったから、取り戻そうと思って」



え、私が悪いの…?絶対違うよね…!?



「わ、私のせいじゃないじゃん…!元はと言えばなるちゃんが……!」



と、そこまで言ってハッとした。