クールな君の甘さを知れば



***



午後の授業も終わって、これから放課後。



いつも通りに下駄箱へ向かうため、自分の席でカバンにいろいろ詰めているとき。



「古賀さん、今日ってヒマだったりする?」



「えっ…?今日?」



話したことのないクラスメイトの男子が、頬を赤らめながら話しかけてきた。



名前…は、なんだっけ…。



えっと……あ、思い出した。杉本くんだ。



まだまだクラスメイトの名前と顔を覚えられていないのはちょっと申し訳ないけど、ニワトリ頭の私だから仕方がない。



それにしても、なんの用だろう…?



掃除当番とか頼まれるのかな…やだなぁ。



内心そんなことを思いつつ、嫌々ながら答えた。



「暇…ではあるけど、どうして?」



正直者な私は嘘をつくのが苦手。



あとでなるちゃんに連絡しておこうと、居残りを決意したら。



「ほんと?じゃあさ、この後───」



「暇じゃねぇよ」



弾んだ声の杉本くんとは反対に、ドスの効いた低い声が聞こえて振り返る。



そしたら……まぁ、なんと言う事でしょう。



「な、なるちゃん……!」



ポケットに手を突っ込んだなるちゃんが、私の後ろにこわーい顔で立っているではありませんか。