松葉さんと付き合い始めて、彼との時間はあまり変わらなかった。

彼の家で一緒にドラマや映画を見て、一緒にご飯を作って一緒に食べての繰り返し。

やっていることは今までと変わらない。


でも———


「松葉さん、離してもらえますか?」

「イヤだね。付き合ってるんだし、手つなぐくらい繋いでもいいでしょ」

「でも……っ」

「緊張して落ち着かないの?かわいーね」


図星を疲れて、何も言えなくなる。

本当に松葉さんは、わたしの心を読んでいるみたいに鋭い。


「あと、名前ね。名前で呼んでくれたら、離してもいーよ」

「な、名前……」

「ほら、絢斗って言ってごらん」

「あ……あ……あ……」