あれからあの男のことが頭から離れない。

昔から、わたしを悩ませることに天才的な才能を見せていたけれど、今が一番かもしれないと思った。

あの男と過ごす時間は、確かに楽しい。

あれから数回あの男の家でドラマの続きを見たけれど、次回が楽しみで仕方がなくなるくらいに。


でも、それからあの男はわたしに一切手を出してこなかった。

それがなんだかもどかしい気もして、今まで感じたことのない気持ちがこみあげてくる。


そんなときに、わたしは久しぶりに高校時代からの親友である七海と会う約束をしていた。


「それにしてもびっくりしたよ。まさか柚葉があの歩くんと付き合ってたなんてね」

「ごめん、言ってなかったよね」

「しかも別れたあとに聞かされるとは思わなかったよ」

「それもごめんって」