どうして何も話していないのに、姉も松葉さんもわたしよりもわたしの気持ちに早く気づいていたんだろう。

わたしにもう少し恋愛経験があったら、歩くんを傷つけずに済んだかもしれない。

ダメだなあ、わたし。


「でもいいんじゃない。これでゆずもひとつ大人になったってことで」


姉は別れることは必ずしも割ることばかりじゃないんだと続けた。

それでもわたしは罪悪感がぬぐい切れない。


「その彼は納得してくれなかったの?そんな顔をしてるってことは」

「ううん。笑顔で別れた。最後は幸せになってって言ってくれたし」

「そう。じゃあ、幸せにならないとね。彼のためにも」


姉の言葉はとても淡々としているのに、わたしの気持ちを整理させようとしてくれているみたいで、とても温かかった。


今度は間違えないようにしよう。

また誰かを傷つけてしまわないように。


そう胸に誓った。