「もっとリッチな暮らしを想像した?」
「まあ……」
「ごめんね、そうじゃなくて。一人暮らしにそんな快適さいらないでしょ。ただ帰って寝るくらいしかしないしね」
本当に意外なことだらけだ。
この男なら友達もたくさんいるだろうし、家に大勢を呼んでパーティーでもしそうなのに。
「それにここに滅多に人なんて来ないしね。家族以外ではキミが初めてじゃないかな」
この男はワルイ男だけれど、こんなにもわかりやすい最低なウソをつく男だったとは思わなかった。
ウソつきだ、本当に。
ここにはお姉ちゃんが何度も来ているんでしょう?
松葉さんの……ウソつき。
「ウソつきは泥棒の始まりですよ」
「ウソなんてついてないよ。俺は結構キミの前では素直だと思うけどな」
「まあ、そういうことにしておいてあげます。それより、そもそもどうして松葉さんの家に連れてこられたんですか、わたし」
プレゼントを渡すだけなら、わざわざ家に呼ばれる必要はなかったはずなのに。
すると、この男は「あーそれはね」ともったいぶりながら、キッチンの方へと消えていった。



