「今日は柚葉ちゃん、泊ってってよ。帰す気ないから」

「え……」


泊って行ってと言われても、何も持ってきてないよ。

そんなつもりなかったし。


「着替えなら大丈夫。さっき芝池さんから受け取ってるから」

「もしかして玄関先でお姉ちゃんから受け取ってた紙袋って……」

「そう、柚葉ちゃんのお泊りセットが入ってる。芝池さんに用意してもらった」


松葉さんが例の紙袋を持ち上げて、わたしはそれを勢い良く取り上げた。

だって、この中にはきっとわたしの下着とかいろいろ見られたらまずいものが……


「柚葉ちゃん、大丈夫だよ。俺、中身見てないから」

「そういう問題じゃありません」

「それにこれから見せてもらうし」

「え……全部……?」

「そう、全部」

「だって、全部って……下着……」

「下着も全部ね。だって今日はお泊りだし。柚葉ちゃんも大人なんだから、意味わかるでしょ」


彼氏の家にお泊り……これも初めての経験だ。

経験はなくても、お泊りってことはつまりそういうことでしょ。


「お風呂一緒に入る?」

「は、入りませんっ」

「ふっ、そう言うと思った」


そして、松葉さんはそっと触れるだけのキスを落とすと

「先に入っておいで、ゆず」と言った。