姉の婚約者はワルイ男




「松葉さんって結構イジワルですよね」

「柚葉ちゃんにはイジワルしたくなっちゃうんだよね。反応がかわいーから」

「反応がかわいいなんて言う人、松葉さんくらいですよ」


家族にさえも、「ほんとかわいくない」と言われることが多い。

この性格のせいか、友達も片手で数えられるくらいしかいないし。

わたしのことをこうして「かわいい」なんて言ってくれる松葉さんが少し変わっているのかもしれない。


「あと、ちょっと柚葉ちゃんと話をしようと思ってね」

「話ですか」

「うん、聞きたいことがあって。あと、ドラマの最終回も今日見ちゃおうかなって」

「それはいい提案ですね」

「ふふっ、お弁当買ってきたから、食べたらすぐにドラマ見ようね」


突然こうして迎えに来て、わたしが喜ぶようなことばかりして。

もしかしたら、わたしの気持ちに気づいているのだろうか。

そうなら、わたしも素直に気持ちを話さないと、そう思った。