「俺はいいよ。それより…」
水湊くんは、あたしの耳に近づいて。
「…下着、透けちゃってるから」
あたし、もう一気に顔真っ赤。
今ので二度くらい熱上がったよね。
……じゃ、じゃあ、さっきからチラチラ見られてる気がしてたのは…。
うわあああ、恥ずかしい!! 消えたい!!
「えっ……遠慮せず着させていただきます」
「うん」
慌てて水湊くんのニットベストを装着。
穴があったら入りたいとはまさにこのことだね。
初出勤の日もそうだったけど…。
水湊くんって、やっぱり優しい。
今日だってこうして自分を犠牲にしてまで服を貸してくれたし。
初出勤の日も、寒いって言ったらパーカーを貸してくれた。
…甘えすぎ、かな?
一歳しか変わんないけど。
水湊くんって、どことなく大人の余裕を感じる。
”ザ・王子様”って感じ。
よくあたしのこと妹扱いするし。
水湊くんといると、余計に自分が子供っぽく見えちゃうなあ……。



