「あ、水湊くん見て!!」
ふらふら歩きながら深海コーナーを横断していると、あるものが目に飛び込んできた。
”ふれあいコーナー”。
あれって、ヒトデとかナマコとかに触れるやつだよね?
水湊くんのことも置き去りにして、あたしはそこへ駆け寄った。
「…元気だなあ、凛久ちゃん」
少しして追いついた水湊くんが、まるで子供を見るように言う。
やっぱり……水湊くんと比べるとあたし、ガキすぎ…?
「水湊くんも触る?」
「いや…、俺はいいや」
こういうの苦手なひとって多いもんね。
無理強いしないよ。やさしいから。
あたしはひとりで水の中に手を突っ込んで、一番近くにいたヒトデを触る。
「ひゃっ、ふにふにしてる!」
「よく見るとかわいいね、こいつ」
「あ、水湊くんも触りたくなってきた?」
「……触るのは絶対ムリ」
ちぇ。
この気持ちよさを共有したかったのに。
確かに、ヒトデってよく見るとかわいいかも……?



