【完】超一途な彼はお友達じゃ我慢できない。






「あ、あたしサメもすき」


「そうなの? 何がいちばん好き?」




隣の水槽で優雅に泳ぐサメを見つけて、思わず駆け寄った。





「うーん……ラブカ」


「え…あの顔怖いやつ?」


「うん」


「いや、サメ…の仲間だけど、確かに…」




え、かわいくない?
確かに顔は怖いけど…歯も多いけど…。



好きなんだけどなあ。





「水族館にいないのが残念だよね」



「…あれは流石に無理なんじゃない?」





夢だなあ。
水族館にラブカが泳いでるの!



水湊くんちょっと引いてたけど。
まあ……「何が好き?」って聞かれて「ラブカ」って答えは女子っぽくなかったかも。反省。





「水湊くんは何が好きなの? 魚の中で」



「俺? んー……カクレクマノミかな」



「かわいいよね」



「小学生の頃、オレンジと白のボーダーシャツ3着くらい持ってて着まわしてた」



「…え? カクレクマノミに憧れて?」





あたしが尋ねると、水湊くんは「そう」って。
思わず吹き出しちゃったよね。
なにそれ、超かわいい!





「あの頃は真剣だったんだから」


「あははっ……はじめて見た、そんなひと!」


「笑うなよー」




だっておもしろかったんだもん。
水湊くんって王子様系にみえて、意外と少年の心持ってるんだね。