「やっぱり妹みたいだなあ」
「……だ、だから、一歩間違えたら悪口、それ…」
「かわいいってこと」
そんなふうに優しく言われたら、何も言い返せないじゃないか。
あたしがかわいいなんて信じられないけど。
この人の前では可愛くいてもいいのかなって思えちゃう。
魔法使いだね。
水湊くん。
「…気持ちよさそうだね。くらげって」
「ん?」
「水に浮いてるの、気持ちよさそうだなって」
急にそんなことを言ったあたしに、水湊くんはまた笑う。
…意外とよく笑うよね。
くしゃってなった笑顔、かわいいけど。
「あははっ。確かに! 凛久ちゃんは泳げる?」
「…ちょっとなら」
「もし予定とかなかったらさ、今年の夏、海行かない?」
え…。
まさかそんなお誘いが来るとは。
自分の体に微塵も自信ないけど…。
「…ふたりで?」
「ん、気まずい? バイトのみんな誘う?」
「いや!! …ふたりでいこ」
もっと水湊くんのこと知れるチャンス。
海って苦手意識あってあんまり行ってこなかったけど、ちょっと楽しみかも。
「…凛久ちゃんてホントかわいい」
「なんかいった?」
「いや? くらげかわいいなって」
はぐらかされた気もするけど…。
まあいいや。
「水湊くんは他に見たいところある?」
「んー……深海魚気になる」
あたしは、水湊くんの手をぎゅっと握り直した。
「いこ」
「…うん」



