「…じゃ、そろそろ中いく?」


「うん」




水湊くんの提案で、あたしたちは中に入ることにした。
昼間は少しづつ暑くなってきてるから涼しいところがいいよねってことで、水族館。




魚とか超好きだし、こう見えて。





「はぐれるといけないから」




って、水湊くん。
子供じゃないんだから、はぐれたりしないよ……。




力強く繋がれた右手に視線を落とした。




彼氏じゃないのに…なぜだか犯罪してる気持ちになる。
男の子と手を繋ぐなんて、中学二年生以来だから…。






ーードキ、ドキ。




うるさい、心臓、しずまれ。




そもそもだけど。
こんなかっこいいひとと二人きりって時点で、ときめかないの無理だし。





「…手、小さいね」



「そうかな。…水湊くんが大きいんだと思うけど」



「んー……どんな強さで握ればいいかわかんない」






水湊くん。
慣れてるんじゃないの?



そんな困った風に笑って……それも演技?




あたし、まだまだわかんない。
水湊くんのこと。



…だからもっと、教えて。