初出勤の日から何日か経って、あたしはこの急展開に驚いているところです。
時計塔の下。
自分のかっこうを改めて見直す。
白いワンピースに薄手のカーディガン。
三日月が揺れるシルバーネックレス。
気合入りすぎかな……?
彼氏でもない男の人とのお出かけなのに。
「おまたせ」
聞こえたその言葉に、全然待ってないよって言おうとして、声が出なかった。
近づいてくる影。
白いカッターシャツの上からグレーのニットベスト。
下は黒いスキニーで細い足が強調されてる。
さっきから、女の子がチラチラ水湊くんのほう見てるよ……!
「…か、かっこいいね」
「そう? 俺も凛久ちゃんの私服見るのはじめてかも」
「う、うん! この日のために買ったから…」
「……俺のため? まじで…?」
水湊くんは口元を大きい手で隠してあたしの服装をつま先から頭まで見てくる。
絶対水湊くん、オシャレさんだと思ったし……釣り合わないの、嫌だったからね。