そういいながら、自分の羽織ってたパーカーをあたしの肩にかける。
いいの? 水湊くん、寒そうだけど……。




「ありがと、やさしいね。そりゃモテそう」



「…それ、褒め言葉?」



「え、褒めてしかないけど…?」





誰でも優しいほうがいいですよ。
あんまり女の子をたぶらかすのはよくないけどね。






「凛久ちゃんって妹みたい」


「……うれしくない」



「かわいいってことだよ」





絶対バカにされてる。
わかるもん!




こんな”かっこいい”の具現化みたいな人が、あたしみたいな凡人をかわいいっていうわけない。






「暗がりでもかわいいし」



「…知ってる? 暗いところのほうがかわいく見えるんだよ!!」



「あは。でも俺、本気で凛久ちゃんのこと可愛いとおもってんだけどな」






……ドキ、ドキ。
この胸の高鳴りを、暗闇のせいにした。





「あ、凛久ちゃん、ここ。おいしいんだよ、このラーメン屋」





あたしは絶対、こんなチャラい人に騙されない…!